諺が民間から生まれるもので、郷土に根を下ろし、この土地で暮らす人々の営み、暮らし、考え,および美意識に密接な関係がある。
寧波は海や川に近く、寧波?紹興平原に位置する。寧波方言の中の諺が非常に豊かで、內容から見ると、稲作、漁業などの生産活動がよく反映される。例えば、「千種の味が塩に及ばず、千本の道が畑に及ばぬ」、「選べる娘なら秀才を選び、選べない娘なら田畑を選ぶ」。婚姻?戀愛、衣食、生計、幸福にかかわり、または、勤勉、訓導、規則にかかわり、そして、気候、動植物の動き、台風?潮などに関わる諺は以上の生産活動に密接な関係がある。
民間信仰と密接な関係があるのは諺のもう一つの特色である。車が水の流れのようにとどれなく続く繁栄な都會にかかわらず、人の足跡があまり至らない極めて辺鄙な田舎にもさまざまな原始信仰が伝わっていた。信仰や儀式に伴って、豊かな內容を持つ諺が生まれてきた。例えば、「梅雨入りに雨であるったら、牛の飲用水さえ無し」、「頭が大きな人は安楽に暮らせ、足が大きな人は苦労に過ごす」などある。
寧波の諺が大體複文型で、二句か四句で対となり、それに韻を踏む。例えば、「山が高くても登山路があり、水が深くても渡り船がある」、「寒ければ寒いほど梅の香りが芳しく、練習すればするほど腕前が上がる」など。
以下、寧波方言を、結婚?戀愛、衣食、生計、養生、家庭、住行、勤勉、団體、処世、友人、言葉遣い、気概、団結、矛盾、親戚?隣人、知恵、度胸という十七種類に分けて紹介する。(一部の翻訳は省略)
▼結婚?戀愛
男は大人になったら娶るべき、女は大人になったら嫁ぐべし。
雙方とも望んでいるなら、夫婦の縁が結びがちである。
選べる娘なら秀才を選び、選べない娘なら田畑を選ぶ。
いい夫がありさえすれば、家什が少なくとも大丈夫である。
馬は二つの鞍に合わず、女は二人の夫に嫁がぬ。
良い女は二戸のお茶を飲まず、一人の女は二人の夫に嫁ぎぬ。
上品の稲は育ちやすいが、高嶺の花には手が屆かぬ。
娶る相手が年下のほうがよく、嫁ぐ相手は年上のほうがいい。
妻の母によって妻を娶り、苗によって稲を植える。
商売が失敗したら一時、嫁取りが失敗したら一生。
男が箒なら、女が塵取である。二人が合わなければ一生も悩む。
涼しい天気に気持ちよく歩け、若い內に嫁げ。
早嫁ぎは親に任せ、後嫁ぎは自分に任せよ。
男が仕事を選べ間違うのは心配で、女が不味い男に嫁ぐのは心配である。
髪を上手に梳かさねば一時、不味い男に嫁ぐなら一生である。
母にならない娘はいるのか、稲を植えない田圃はあるのか。
お茶が不味ければむしろ水を飲もう。夫が不味ければむしろ一人で暮らそう。
相思が病ではないが、侵したら命にかかわる。
寡婦の周り諍いが多い。
▼衣食
綺麗に見えても金にならない。
魚肉よりおいしいものはなく、赤青より美しいものはない。
粗末な食事よりおいしいものはなく、地味に裝う物より美しい物がない。
召しする時塩を食べらなきゃいけなく、服を著ける時綿製の服を著けなきゃいけない。
千枚の服を著ても一枚の綿入りのかけ布団に及ばない。
新しい服を三年、中古の服を三年、縫いつくろった服を三年著よ。
長男には新しい服、次男には古い服、三男には破れた服、四男には縫い繕った服、五男にはぼろぼろの服を著る。
金を積み上げるなら、むしろ穀物を積み上げるほうがいい。
困りに困って、飯を食うことより困ることはない。
閻魔大王は餓鬼を派遣しなく、皇帝は空腹の兵を派遣しない。
日は三度の食事に頼り、夜は一晩の宿泊に頼る。
飢餓の時糠もおいしい、飽きの時肉も脂っこい。
眠い時はベッドに文句をつけなく、お中が空いた時好き嫌いがない。
シーフードにあっさりした物は三つは昆布、海苔、苔。
八月に木犀の花が芳しく、いしもちは乙女に喩えられる。
香り抜いた焼酎を飲むのは、おならを嗅ぐと同じである。
▼生計
道を切り開いたのは人間で、樹木を植えるのも人間である。
人に願うより自分に願うのは一番、布袋を借りるより布団の布を切ったほうがいい。
プロを見落とさなく、アマに願わない。
飯は一口ずつ食べ、事は一つずつする。
親がいなければ、自力で生計を立てる。
一匹の蟹に一つの穴、一羽の雀に一つの巣。
人のおやつを一回食べたら三年も用心。
人の衣を著るなら、人に苛められるよ。
黃疸病患者がお餅を搗くなら、力を盡くしても罵られる。
今年は良い來年を祈るが、來年には相変わらずぼろシャツをあわせの著物として著る。
しょうがない時には菩薩に、相談の相手がいない時にはおばあさんに聞け。
この山ではあの山が高く見えるが、あの山に登ったら柴さえない。
一人暮らしは自由であるけど、病気の時は苦しいよ。
苦しい仕事といえば、鍛冶屋、舟渡り、豆腐作り。
お金さえ多ければ、油の鍋に入っても怖くない。
時運がなければ、手に握った黃金も銅になる。
運が來れば避けようとしても避けられない。煮た蟹が這って入るようである。
ムカデが足が多くても蛇ほど走れない。金儲ける人は借金が多い。
▼養生
楽しく暮らすのは長壽、運動するのは健康。
健康に暮らしたいなら、日々運動することである。
丈夫さがほしいが、太るのが要らん。
千金かかっても、老いた後の痩せが買えない。
怒ったら飯を節約し、怒りすぎたら病気にかかる。
怒りも憂いもなければ、白髪まで生きていける。
喋ったら気が晴れる。黙り込んであるら病気にかかる。
毎日汗をかいたら、病気がやってこない。
厚著したら元気が無く、寒い思いをしたり日に當たったりすれば丈夫。
子豚には一杯食わせ、小児には少食。
多く歩けば転がるのも多い。多く食べれば咽に痞えるのも多い。
一晩寢ないと、十晩寢ても足りない。
一食食べ過ぎたら、十食もスープを飲む。
寢る前の足洗いは睡眠薬に等しい。
一斤の朝鮮人參は一升の玄米に及ばない。
冬の滋養物は十食べたら九が効き、夏なら汗と共に流れてしまう。
立冬に鶏を一羽食べたら、布団をかけなくてもいい。
杜仲と棗の煮込みを食べたら、腰が強くなる。
冬に大根、夏に生薑、一年中醫者要らず。
大根が熟する時、醫者が泣く。
一杯に食わず、食後に走らず。
朝食は一杯、晝食は栄養たっぷり、夕食は少食。
一に力比べなかれ、二に食比べなかれ。
魚食は上せ、肉食は痰生み、青菜豆腐は健康食。
朝の酒、朝の煙草は早死へ。
一晩越しのお茶は蛇ほど猛毒。
熱いご飯に冷たいお湯をかけたら、父親が醫者でも治らない。
薬を飲む時蟹を食べないで、食べたら百薬も効かない。
▼家庭
家族が仲良ければ萬事隆盛、家族が仲悪ければ盜賊も入る。
家族が仲悪ければ、人に欺かれる。
和気なら金が儲かる。罪業を殘したら災いも多い。
他人の家事が分からず、いくら公正な裁判官でも家庭の內輪もめを裁くことはできない。
牛が田を耕し、馬が穀物を食う。親が苦労し、子は享楽する。
家に老人がいれば、寶物がある如し。
家に主人がいなければ、家の柱が逆支えの如し。
親のない人には相談の相手もない。