餘計なところには気がまわるのよ。ママもママだけど、パパもそとは違うところで頭がどうかしてるわよ。いつも見當違いなことをやってぶち壊しにするの」
「確かに君の言うとおりだ。非常に見當ちがいだ」と僕は同意した。
「でもあなた、どうして中に入れたりしたの?部屋の中に入れたんでしょう、その女の人を?」
「入れたよ。よく事情がわからないから彼女と話し合う必要があった」
「でもまさか変なことしなかったわよね?」
「それがそう単純でもないんだ」
「まさかーー」と言いかけて彼女は口をつぐんだ。適當な表現方法を△
「君を見てるとときどき女房を思い出す」と僕は言った。
「あなたに愛想をつかせて他の男と出ていった奧さん」とユキは言った。
「そう」と僕は言った。
ダンスダンスダンス
ハワイ。
それからの何日かは平和な日々が続いた。楽園的とまでは言えないにしても、まあ平和な日々だった。僕はジューンの來訪を丁重に斷った。風邪をひいたみたいで熱がある、咳も出る(こほんこほん)、しばらくはとてもその気になれないと思う、と僕は言った。そして車代にと言ってまた十ドル劄を渡した。それはいけないわね、もしよくなったらここに電話ちょうだいねと彼女は言って、シャープベンシルをバッグから出し、ドアに電話番號を書いた。「バイ」と彼女は言って腰を振りながら帰っていった。
僕は何度かユキを母親のところに連れていった。そして僕は片腕の詩人ディプッノースと二人でビーチを散歩したり、プール