次に唐先生のご質問についてです。結局のところ日本國民はこの問題のあった教科書をどう受け入れたのかという點です。実はこの教科書は、一般の教科書と異なり、街中の一般書店で売られるという販売方法がとられました。そのためこの教科書は結構な冊數が売れました。ただその背景には「新しい歴史教科書をつくる會」がこの教科書をいろいろな団體、企業に配り、さらにこの教科書運動に賛同した団體、企業がこれを大量に購入するという動きが見られました。自分から進んでこの教科書を買ったという人はそれほど多くありません。そして結末として、この教科書はほとんどの中學校で採択されませんでした。中國、韓國ではこの教科書問題が非常にクローズアップされましたが、実際のところ教科書そのものの內容が國民に受け入れられたとは言い難いと結論できます。
鄭林 北京師範大學副教授
私は次の二つの質問に答えます。
1.中日の歴史教育交流において、日本が中國に送った日本の歴史教科書はどこに保存されているかという問題です。
中日の歴史教育交流は、主に中國人民教育出版社と日本國際教育情報センターとの間で行われ、雙方は互いに相手の社會·歴史教科書を交換しています。日本が中國に送った歴史教科書は、人民教育出版社の図書館に保存されています。
2.多國間において歴史教育交流があるのかという問題です。
これまで中國と日本との間に歴史教育の雙方向交流が比較的多く行われてきました。他の國との雙方向交流はまだ少ないです。1980年代末から、中國の歴史教學研究會は進んで日本との交流を組織しました。中國全國歴史教學研究會は年會を開く時に日本などの國の専門家を招きました。日本の「比較史、比較歴史教育研究會」主催の「東アジア歴史教育討論會」にも、中國、韓國、朝鮮、ベトナムなどの國が代表を派遣して參加しました。各國の間の歴史教育交流は多くの條件に製約されています。最も主要な問題は、組織者と活動経費です。まず、歴史教育研究団體は國際交流の願望があって、積極的に交流活動を組織することが必要です。それから、活動を行う経費を調達することが必要です。今後、各國の歴史教育研究団體は國際交流を組織する麵でより大きな役割を果たすよう期待しています。
(區建英 訳)
李誌英 北京師範大學教授
司會者の指示通りに、私は中國の経済発展と環境問題との関係について総合的に答えます。
改革開放以來、中國社會は急速な経済発展を収め、社會生産力は大いに向上しました。しかし、経済発展と同時に、環境問題をもたらしました。とくに1990年代中期以來、環境問題は日増しに顕著となり、環境汚染、資源浪費、生産コスト増大などの問題が起こりました。しかし、中國人民と中國政府は環境問題をとても重視し、民間と政府とも積極的に努力して、生産の発展による環境問題をたえず改善していくよう努めています。中華人民共和國主席·胡錦濤は中國政府を代表して、調和が取れた社會を建設するという目標を打ち出し、この目標において、特に環境友好型の経済を建設するという課題を提起しました。すなわち、経済を発展させると同時に、環境と友好的に付き合うよう努力し、発展の將來性を未來に殘さなければならないということです。民間には、多くの自発的な環境保護団體があります。多くの人は環境改善のためにボランティアとして働いています。多くの學者は環境問題を研究し、しかも政府と民間に対して絶えず各種の建言を出しています。これらの仕事はすでに効果を収めており、あるいは間もなく収められるのです。経済を発展させる中でどのように環境問題を解決するのかということは、日本がすでに経験しており、とても良い経験を蓄積しました。今後、中國は日本によく學び、しかも日本から多くの助力を得られるよう期待します。
(區建英 訳)